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2011年も残すところ数カ月となりました。それにしても、この年は災害の記憶を、我々に強く残すことになるのではないでしょうか。3月11日の大震災の後に繰り返し流された津波の映像が忘れ難いこともありますが、つい最近も9月21日に台風15号による帰宅困難者が発生するなど、連続でおこる災害がそれを忘れることを許さないからです。私自身も帰宅困難な状況を体験したこともそう感じる理由のひとつです。

避難所としての学校

東日本大震災から数カ月経ち、やっと被災地では仮設住宅への転居が進んでいますが、まだまだ学校の体育館での避難生活を続けている方もいらっしゃいます。また、せっかく仮設住宅での生活を始めた被災者の方が、台風の影響で再度体育館に避難したというニュースもありました。各地で災害が起こるたびに避難場所となるのは学校ですが、衛生状態や避難所内の寒さなど、仕方のない状況とはいえ学校での生活は決して快適とは言えないようです。この状況の中で、避難所としての学校校舎の活用が見直しされているようです。

避難所としての機能を高める施策がありました

その見直しに関する一例が大阪のニュースでありました。大阪市が一般会計補正予算の中で、調機と中学校給食を導入する為の費用を計上したという内容です。これは学校での防災対策の一環で、被災した避難者への熱中症や寒さの対策が狙いとのことです。給食用の冷蔵庫を避難者の為の食品保存などに活用する為に1億1400万円が計上されました。

補正予算案11億7400万円を発表 大阪

このように、ただ避難する場所からより有効な活用へと検討を始めている自治体があることは注目に値すると言えるでしょう。これらは他の自治体にも広がるのではないかと思います。

廃校の活用

他にも有効活用が模索されている施設が「廃校」です。いま、少子化や市町村合併の影響により廃校が増えていますが、平成22年度には全国で504校の公立学校が新たに廃校となりました。これは過去3番目に多い数となっています。文部科学省は、この廃校の実態と活用状況について、「廃校施設等活用状況実態調査」を毎年実施していますが、そのとりまとめが9月16日に発表されました。

廃校施設等活用状況実態調査の結果について

このアンケートによると、通常は社会体育施設、社会教育施設、体験交流施設として使われている廃校ですが、2,443校の廃校施設(有効回答)のうち、約半数(51.7%)の1,262校が避難所に指定されているそうです。

避難所に指定されている施設1262校のうち、暖房設備があるのは35.7%。貯水槽などがあるのは21.3%、通信機器があるのは17.9%、自家発電設備があるのは3.2%にとどまっているということで、文部科学省では「廃校後も防災拠点として重要な役割を果たしており、耐震化や設備の補充を進めるべきだ」という報道もありました。

すすむ耐震補強工事と廃校の活用

「文部科学省は21日、公立小中学校の校舎などの耐震化を進めるため、本年度第3次補正予算案に1020億円を計上、月末に提出する来年度予算の概算要求では少なくとも1500億円を盛り込む方針を決めた」という報道がありました。

現在も子供が通っている公立小中高校3万4185校のうち、89.3%にあたる3万513校が避難所に指定されています。まずはこれらの耐震対策をすすめることが重要ですが、他にも「耐震補強のほか、天井や照明器具など非構造部材の耐震化も進める方針」といことです。

学校の耐震関連の入札案件はNJSSでも多く出ていますし、この動きは今後も進んでいくと考えられます。全国の耐震化率は過去最高となったものの、耐震性が確認されていない施設がなお2万2911棟残っていることから、今後も注目すべきテーマの様です。

文部科学省では「災害時は今も使われている学校がまず避難所になるだろうが、廃校施設も活用できるようにしておくことが望ましい」とのことですので、公立の小中学校の耐震工事だけでなく、廃校などの設備を含む広範な案件に注目する必要があるかもしれません。